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この国の人たちは初めて出会った人と

挨拶代わりに眼鏡を交換する

という習慣があるんだ

 

 

だから、この国では全員

眼鏡をかけている

 

 

 

その眼鏡は様々な世界を見せてくれるんだ

 

 

相手の人のいつも見ている世界を

見せてくれるから

 

 

いつもニコニコ笑顔の女の子の眼鏡

かけると世界は明るくなった

全てのものが輝きを持ち

こちらに笑いかけてくれるように見える

だから、こちらもつい笑顔になる

 

その笑顔を見た人がまた笑顔になっていく

 

 

 

 

いつも下を向いたしょぼくれおじさんの眼鏡

かけると世界から色がなくなった

グレーの冷たい世界

世界中が自分を非難してるように感じるの

 

だから下を向いて、しょぼくれて

悲しい顔が広がっていく

 

 

 

 

 

下から覗くような目の女の子の眼鏡

かけると世界中の人がこっちを見ているように感じる

何をしても誰がに見咎められ

ダメだ、ダメだと言われるような

 

息が苦しくなってくる

 

 

 

 

とっても綺麗でお洒落な黒髪の女性の眼鏡

 

もの凄く自分のことがハッキリ見える

ショーウィンドウに映る姿

鏡、窓、自分の姿をいつも見てる

 

そして、お洒落を気にしない

なんとなく、洋服を着てる人達を

もったいない、と見ているんだよ

 

 

 

 

実は眼鏡は生きていて

見え方の違いはその眼鏡の持ってる菌の違い

 

 

同じ菌のいるところの人と眼鏡を交換しても

同じ世界しか見えないの

 

 

 

新しく出会った、初めての人と

眼鏡を交換して

初めて見える世界がある

 

 

私はこの世界を見たい！と

眼鏡に言えば、違う菌をまとうことができる

 

 

だから、見たい世界を見ることができるんだ

 

 

 

でも、同じ菌の中に長くいると

菌がこびりついて

なかなか新しい菌に変わらない

 

 

そんなときは眼鏡を外して

ぼーっと目を休めるんだ

 

 

 

中には新しい人と出会っても

挨拶なしで眼鏡の交換をしない人もいる

 

 

そんな人の眼鏡はカビだらけ

 

 

 

どうしてみんなは

世界がキラキラ輝く眼鏡を選ばないのかな

 

 

 

 

ENMAカード「習慣」より

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