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電球のあたたかさ

昔はどこの街にも
専門の店があったものだ

そのひとつには電気屋さん

 

うちの祖母の家では
お抱えの電気屋さんがあって
冷蔵庫も洗濯機もエアコンも
そこから購入していた。

調子が悪くなると見に来てくれて
電化製品を大事に長く
使えるようにしてくれていた…

 

富ヶ谷にも小さな電気屋さんが
まだ、1つある…

普段、お世話になることはないのだが
電球を買う時には
そこまで出かけていくことにしている。

 

何故なら100キンの電球は
某国で作られた粗悪品が多く
半分の確率でつかないことが
あるからだ。

 

この街の電気屋さんは
1つ1つ丁寧に電球が点灯するか
確認してから売ってくださる。

 

昨日も早い夕食のあと
そうだ、トイレの電球が切れていた…と
電気屋さんへ向かった。

 

ふと目を挙げると
空が青紫に輝いていた。

 

店の前では
老婦人が店の元の主人だと思われる
おじいさんと話をされていた。

 

 

「おおーい」とおじいさんが中に
声をかけると50代ぐらいのおじさんが
「はいはい」と出てきて

 

いつものように電球を1つずつ
開けてはカウンターについた
ソケットに刺しては
点灯するかチェックしてくれる。

いつもこの店は
どうやってお客様が来るのだろう?と
心配していたが

 

この老婦人のようなお客様が
いまでもまだいらっしゃるのだろう。

 

手に包帯を巻いた私に

「てはどうなさったの?」と声をかけて
くださるおじいさん。

転んだ、と伝えると
「転ぶのはいかんね。わしらも注意しないとね…」
と暖かい眼差しで話していた。

 

きっとこのおじいさんは
先ほどの老婦人のような頼りにしている
お客様がまだこの街には何人もいて

その人たちがいる限りは
お世話をしたいと思っていらっしゃる、
そんな気持ちを感じたのだった。

街からはこういう店が消えていく。

でも、これからは
本当は欲しいのはそういう
気にかけてくれるお店や人の存在なのかもしれない…

 

昔は魚屋さんも八百屋さんも
その道の専門家がものを売ってくれていた。

一番美味しいところを売ってくれて
一番美味しい食べ方を教えてくれて

そんな交流があったのにね…と思った夕べ。

 

歩道橋から見る夕焼けは
やけに美しい藤色とピンクのグラデーション

なんとなく、ノスタルジックな気持ちになる

 

日本文化はどこからきたのか

プロフェッショナル

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