コントロールすることを
少しずつ手放し
流れに任せるようになってから
思ってもいなかったようなことが
起こるようになっていった。
あるとき
私はふと
「実験をしてみよう」と思ったんだ。
その年の初め
売上を2000万円超える、
という目標を立てた。
そして同時に
ひとつの決断をした。
「頭で考えたことは
絶対にやらない」
今思うと
かなり無謀な宣言
だったと思う。
外資系企業で
働いていた私は
問題が起きると
すぐに施策を
考える癖がついていた。
どう改善するか。
どう動けばいいか。
何をすれば結果が出るか。
考えることが
仕事だったからだ。
だから
この「考えない」
という実験は
想像以上に難しかった。
気がつくと
すぐに頭の中で
あれこれ組み立てている。
そして
そのたびに自分に言う。
「やめやめ。
それは今回はやらないって
決めたでしょう?」
でも
また考える。
その繰り返しだった。
お盆の頃
元の主人の実家のある
琵琶湖のほとりで
昼間からビールを飲みながら
ぼんやり考えていた。
「まだ目標の半分も
いってないなあ」
「何をしたらいいんだろう」
そんな思考が
自然に浮かんでくる。
そしてまた
自分に言い聞かせる。
「だから
今回はそれをやらないって
決めたんでしょう?」
「誰も困らないよ。
これは実験なんだから」
そうやって
何かを“しよう”とする自分を
一度止めてみる。
その代わりに
思いついた。
どうせなら
楽しいと思うことだけを
やってみよう、と。
それから
香りのことを始めたり
興味が湧いたことを
そのままやっていった。
年末になり
税理士さんが
資料を持ってきた。
それを見て
私は本当に驚いた。
目標を
達成していたのだ。
思わず
三度見した。
「これ、計算合ってます?」
そう聞いたのを
今でも覚えている。
だって
頑張った感覚が
まったくなかったから。
何もしていないような
気さえしていた。
それなのに
数字はちゃんと
そこに届いていた。
そのとき
私は思った。
これは偶然なのか。
それとも
何か別の流れが
働いているのか。
確かめたくなった私は
次の年も
別の目標を
立ててみることにしたんだよ。
(つづく)
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